エネルギーの源を絶やしてはならない・・・

 『今年のおたや祭は、寂しいおたや祭だったなぁ』『山車や屋台がないと火の消えたようだ』と街角から声がきこえる。

 長和町の古町に所在する古町豊受大神宮の例祭は、通称おたや祭として知られ、その起源は最も古い記録として江戸時代末の文政11年(1828)の文書が残されているが、お祭りはこれ以前よりかなり古くから行われてきた。お祭りには山車が奉納されるようになり、その山車は素朴な農民美術を伝承する貴重な伝統文化として、昭和38年に長野県無形民俗文化財に指定され、現在は保存会により5場所の山車が奉納されている。伊勢神宮にならって、20年ごとに遷座祭が行われる。例祭は毎年1月14日の夕方から15日の昼頃まで行われ、参詣の人々は上田、佐久方面からも訪れ、2日間に4~5万人ほどの人出がある町一番の大きなお祭りである。

 人々で賑わう活気に満ちたお祭りが、一年が経過してなお勢いが止まらない新型コロナウイルスの感染リスク回避のため、山車の奉納と屋台の出店が中止となった。

 中山道の宿場を二つ持つ長和町、夏に行われる和田宿宿場まつり、秋の長久保宿の大山獅子祭りも関係者の願いや想いも届かず中止となった。

 「星降る中部高地の縄文世界」として日本遺産を構成する遺跡、星糞峠の一帯で発見された縄文時代の黒耀石鉱山である国史跡「星糞峠黒曜石原産地遺跡」を有する我が町は、そのふもとにある黒耀石体験ミュージアムにて、毎年、地元小中学生もスタッフに加わり開催する「黒耀石ふるさと祭り」も「三密」に配慮し、場所を変え、催しを変え、最小人員により数日にかけて行ったが、活気は従来に遠く及ばなかった。

 「祈り」「感謝」「願い」、生きることを喜び、コミュニティを育てるために行われてきた祭り。地域の絆を深め、人と人との結びつきを強くする祭りは、日本人の心のよりどころである。先人が脈々と受け継いできた伝統の祭りを大切に守り、次世代へと伝えていく、先人の想いとともに…。

 新型コロナウイルスが社会生活の在り方を変えようと、地域のエネルギーの源を絶やしてはならない。地域の結びつけを弱めてはならない。
 私は、緑の山並み、澄んだ空気、豊かな水、黒耀石の遺跡、中山道の長久保宿・和田宿など、豊かな自然、歴史、文化が好きだ。そして、そこに住む人たちが好きだ。
 「まちがもっと元気に、ひとがもっと幸せに」思いを新たに…。

 


令和3年1月27日

長和町長 羽田健一郎