公開日 2020年03月03日
最終更新日 2020年03月03日
【はじめに】
令和元年もあと1箇月余りとなり、寒さも一段と増して参りました。週明け12月2日には、ブランシュたかやまスキー場の安全祈願祭が予定されておりまして、今シーズンこそはスキー場にとって降雪に恵まれ、素晴らしいシーズンになることを祈って参りたいと考えているところでございます。
本日ここに、長和町議会12月定例会を招集いたしましたところ、たいへんお忙しい中、議員各位のご出席を賜り開会できますことに厚く御礼申し上げます。
【台風19号災害】
さて、10月12日から翌日にかけて、長野県を始め東日本、東北地方に大きな爪あとを残した台風19号につきましては、当町にも大量の降雨と強風をもたらしました。時間最大雨量は長久保で30ミリ、累積雨量は長門牧場で約350ミリ、最大瞬間風速は26.7mに達したところであり、また停電・断水など、町民生活や経済活動に深刻な影響を受けたところです。
当町の被害としては、現在のところ住家の床下浸水が26戸、事業所の全壊1戸、事務所の床上浸水1戸のほか、道路などの公共土木施設は単独事業となる小規模なものも含めて74箇所、農地や農道・用水路などの農業用施設は同じく小規模なものも含めて109箇所、林道は48路線中34路線が不通となる被害を受けるなど、これらを合わせると20億円前後の被害額になることが見込まれます。これに加え県管理の国・県道、河川施設等の被害を含めると、甚大な被害を受けたと考えております。
こうした中にあって、住民の皆様の迅速な行動によって500人以上の方に避難していただき、消防団や議会議員の皆様、自治会や自主防災の皆様を始め多くの関係者の皆様のご協力により、人的被害を未然に防ぐことができました。それぞれの立場でご協力いただいた皆様に対し感謝申し上げるとともに、被害にあわれた皆様に対しまして、心からお見舞いを申し上げるところでございます。
被害箇所の内、地域の皆さんの生活に影響の大きい、大門落合地籍の国道152号崩落現場の復旧につきましては、当初12月の中旬を目途に仮復旧させる予定でしたが、地元のご理解と関係者の努力によりまして、本日午後3時から片側通行が可能になるとのことであります。本格的な冬を前に地域生活やスキー場などの観光面にとって、ひと安心できるのではないかと思っております。県では、引続き本復旧を進めていくとの事ですので、町としましても早期の完全復旧に向けて引続き協力して参りたいと思っております。
町で行う被害箇所の復旧については、来月9日から順次災害査定が実施されますので、国庫補助事業関係と単独事業を合わせ本議会の補正予算で提案申し上げたところであり、災害査定の進捗によっては、今後追加の補正予算を提案させていただく予定としております。
今回の災害復旧に関しましては、この25日に、県や市長会、町村会など5団体で「ワン・ナガノ」を合言葉に、住民やボランティア、行政などが力を結集させて復興に取り組もうとアピールをしたところです。これからも関係者力を合わせて、復旧復興に息の長い取り組みが必要であると思っております。
今回の災害は、激甚災害に指定されたところでありますので、財源となります国庫補助率のアップと起債の充当率及び後年度の交付税参入率もアップとなります。当面の課題は、これらの支援を十分活用し、町としましても特に農業用施設については、来年の作付けに間に合うよう優先順位を検討しながら、一日も早い復旧に向けて努力して参る事だと考えております。
【内外情勢】
国内情勢に目を向けますと、9月11日には第4次安倍改造内閣が発足し、10月1日からは消費税が8%から10%にアップされたところです。
内閣府は11月の月例経済報告で、「景気は緩やかに回復している。」としておりますが、消費税アップ前から景気の動向は心配されたところで、9月の景気動向指数においては、「悪化を示している。」としており、消費税率引き上げの駆け込み需要や、来年7月に開幕する東京オリンピック、その後のパラリンピック関連などの建設需要にも支えられてきた景気の冷え込みを心配するところです。加えて、外的要因としては英国のEU離脱問題やアメリカと中国の対立による中国経済の減速など、経済の不透明感は増していると考えられます。
また、この秋だけでも台風15号、19号とその後の前線による大雨被害と言うように大きな災害が頻発しているところであり、経済運営の面でも安全・安心を確保する防災の面でも、政府にはしっかりと対応してもらいたいと考えております。
【公立病院再編問題】
地域の安全・安心を確保すると言う面では、9月末に突然厚生労働省が病院名を挙げて「公立病院の再編・統合の議論が必要」との報道があり、この中で、国保依田窪病院も対象病院に位置付けられましたことは大変な問題であると感じております。
全国町村会でも、これに対し「関係住民に過度の不安を与えかねず、極めて危険」とする意見を表明したところであります。
こうした報道が事前に何の前触れもなく、いきなり公表され、また、選定の理由として病院ごとに果たす役割が異なる地域の実情や、病院が設置された経過などが全く考慮されていないこともありますので、今後引き続き、採算では測れない地域医療だからこそ公立病院が必要との立場で、町長として、更には長野県町村会長として、機会あるごとに国に強く訴えて参りたいと考えております。
【大型事業の経過】
今年度議会の皆様にご理解とご協力をいただきながら進めております道の駅に建設中の大型農畜産物直売所建設事業と、樅の木福祉会が進めております山の子学園の新築に併せ建設します古町コミュニティ施設整備関係につきまして、現在の状況等申し上げたいと思います。
まず、直売所建設事業ですが、本年5月の着工以来、建築主体、機械設備、電気設備、足湯施設共に全て順調に進んでおるところでございます。また、出荷者組織や運営組織につきましても鋭意協議を重ね、それぞれ準備を進めておるところでございます。
直売所は町の活性化のため町で設置するものであり、その運営を民間活力によりお願いするものでございます。運営が軌道に乗るまでには思いもよらない問題や困難も考えられるところで、設置者の責任として何らかの支援は必要と考えております。今後運営会社の方と議会の皆さんとの懇談会を予定しておりますが、その場などで運営会社の意気込みや考えをご理解していただきながら、私共としても十分検討したうえで来年度予算に反映させ議会に諮ってまいりたいと考えております。
古町コミュニティ施設につきましては、コミュニティ施設と一体化して整備を行います山の子学園の障がい者支援施設と合わせ、施設の規模や内容、一体化するための方法など、施設建設に向けての諸要件について、山の子学園と打ち合わせを行って参りました。
先般、これらの諸要件がまとまりましたので、設計業者の選定を進めていくため、12月11日に議長、社会文教常任委員長、古町財産区議長、地元自治会長さん、樅の木福祉会関係者の皆さんなどにも参加いただいて設計コンペを実施する予定であります。設計業者が決まりましたら、実施設計の段階へ進んでいくわけでございますが、古町地区の皆様を対象にした住民説明会を開催し、図面等お示ししながら地元の皆さんのご意見を伺って、実施設計に生かしてまいりたいと考えております。
【町の表彰式】
次に、11月3日に行われた町の総合文化祭において、町の発展に貢献されました2名の方に功労者表彰を授与させていただきましたのでご紹介したいと存じます。
まず、10年にわたり信州・長和町観光協会長をお務めいただきました小林和夫様は、美ヶ原トレイルランやウイスキー&ビアキャンプなどのイベントの開催に尽力され、今年で9年目を数える両イベントとも、ますます盛大となり町の観光と産業に多大なる貢献をされました。
有限会社鈴木自動車代表取締役鈴木武(たけし)様は、国道152号線沿いの長久保大石地籍に町の木「山桜」や町の花「ツツジ」約520本を植栽して公園化整備をしていただいた上で、ご寄附を賜りました。
両名の方には、町政の発展と地域づくりへの功績に対しまして、改めて深く敬意を表するものであります。誠にありがとうございました。
【ブラジル訪問】
また、私は町村会長として今月14日から21日まで、在ブラジル県人会の60周年記念式典の出席を主な目的に、ブラジルを訪問して参りました。阿部知事、市長会長の加藤長野市長は台風19号被害対応のため急遽欠席となってしまいましたが、小岩副知事、清沢県会議長はじめ、多くの招待者の皆さんと60周年を祝って参りました。
ブラジル県人会の皆さんもふるさと長野県の被災には大変関心を持っておられまして、私どもと同じ様に被害状況を知っておりましたことには、驚かされたところです。さっそく義援金の募集を行うとのお話が進んでおり、ふるさとを思う気持ちに感謝いたしたところです。また、長和町出身者の方ともお会いすることができ、大変有意義な訪問になったと感じております。
それでは、今議会に提案をさせていただきました、条例改正案4件、廃止する条例案1件、補正予算案7件、人事案件1件につきまして、順次説明させていただきます。
【条例案件】
最初に、条例に係わる案件でありますが、
議案第78号「長和町特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例」の制定につきまして、ご説明申し上げます。特別職等報酬審議会の答申のとおり、条例に規定する委員等の整理を行うとともに、県の最低賃金などを参考に1日あたりの報酬を6,600円から7,000円に改正するものであります。
議案第79号「成年被(・)後見人等の権利の制限に係る 措置の適正化等を図るための 関係法律の整備に関する法律の施行に伴う 関係条例の整備に関する条例」の制定につきましてご説明申し上げます。表題にございます法律の施行に伴い、成年被(・)後見人であることを理由に不当に扱われることの無いよう、関係条例を一括して一部改正する条例でございます。
議案第80号「長和町税条例の一部を改正する条例」の制定につきましてご説明申し上げます。町民税の減免規定について、災害を受けた場合の減免規定等を追加する改正が主のものとなっております。
議案第81号「長和町特産物直売所条例の一部を改正する条例」の制定につきましてご説明申し上げます。道の駅マルメロの駅ながと内に大型農畜産物直売所を建設することに伴い、必要な条例の一部改正を行うものでございます。
議案第82号「長和町指定居宅介護支援事業の料金に関する条例を廃止する条例」の制定につきましてご説明申し上げます。介護保険制度が始まった当初は、町で居宅介護支援事業を行って参りましたが、現在その必要がなくなったことから条例を廃止するものでございます。
【補正予算】
次に、補正予算関係の議案について順次ご説明申し上げます。
最初に、議案第83号「令和元年度 長和町一般会計補正予算(第4号)」につきまして、主な内容を説明させていただきます。
歳出につきまして、事業進捗にともなう増減の補正のほか、農林水産業費においては、台風被害による獣害防止柵の補修用の資材費、消防費においては、災害に係る経費を計上させていただきました。
災害復旧費におきましては、農業用施設、林業施設、土木施設と分けてまして予算計上いたしました。金額につきましては、災害査定前であること、見積りの段階ということもあり、今後精査の上改めて補正等提案させていただくことになろと考えております。
次に歳入につきまして、主な内容を説明させていただきます。
国・県の負担金及び補助金でありますが、歳出の補正予算で計上させていただきました各事業や災害に伴う負担補助を見込みまして、補正を計上させていただきました。
この他、繰入金においては財政調整基金繰入金の増額補正を、町債におきましては、災害復旧に関します災害復旧事業債を増額計上させていただきました。
以上、一般会計全体で9,593万1千円の増額をお願いするものであり、補正後の予算総額は、64億4,529万円であります。
続きまして、議案第84号「令和元年度 長和町国民健康保険特別会計(事業勘定(かんじょう))補正予算(第3号)」から議案第89号「令和元年度 長和町公共下水道事業及び排水処理施設事業会計補正予算(第2号)」の主な内容について説明させていただきます。
国民健康保険、後期高齢者医療、介護保険特別会計補正予算につきましては、それぞれ実績に応じた補正予算が主なものとなっております。
観光施設事業については、除雪車に関する経費の増額補正が主なものとなっております。
上水道事業会計、公共下水道事業及び排水処理施設事業会計におきましては、台風19号による災害復旧費に係る補正予算が主なものであります。
【教育委員の選任】
最後に、議案第90号「長和町教育委員会の委員の任命につき同意を求めることについて」であります。
教育委員の任期は4年でありますが、この12月2日に4年間の任期が満了となります1名の教育委員について、その後任となる委員の任命につきまして、議会の同意をお願いするものであります。
以上、本定例会に提案させていただきました議案について概要を説明させていただきました。詳細につきましてはご審議の際、それぞれ担当者より説明を申し上げますので、原案をご承認賜りますようお願い申し上げまして、提案理由の説明といたします。
長和町長 羽田健一郎 |